今回は、第1肋骨の転位についてお話をします。
第1肋骨の転位は、非常に強い症状を発生させます。
強い肩こりや頚部の違和感、頚椎の不安定感を発生させます。
特に肩こりは、肩に鉄板が入っていると表現されたり、肩に岩が乗っているようなこりがあると表現されるような強いものとなります。
また、胸部や背部に疼痛や張り感をおこすこともあります。
これは、第1肋骨の転位によって、上位の肋骨が不安定になるためです。
頚胸移行部や上位頚椎にも強い影響を与えます。
頚椎の安定が悪くなりますので、整復をしてもすぐに転位をするような状況になる場合があります。
施術が進んでも、頚胸移行部や上位頚椎が安定しない場合は、第1肋骨が転位している可能性があります。
第1肋骨の転位の確認は、比較的容易です。
患者さんを座らせて、背側から左右の胸郭上口の後方部(第1肋骨の椎間関節に近い部分)を示指で押圧を加えます。
第1肋骨の肋骨頚を上方から触診して、第1肋骨の左右の高低差を確認します。
第1肋骨が正常な場合は、触診しても痛みはほとんどおこりません。
(強く押圧する必要はありません。)
接触痛のある側を異常と判定します。
左右の第1肋骨を触診して、
接触痛があり第1肋骨が高位にある場合は、第1肋骨浮上型の可能性が高くなります。
接触痛があり第1肋骨が低位にある場合は、第1肋骨沈下型の可能性が高くなります。
第1肋骨の転位のほとんどは第1肋骨浮上型となります。
胸郭の構造上、第1肋骨が沈下する可能性は低いものとなります。
第1肋骨沈下型整復法は難易度が非常に高いので、整復する側としては浮上型の方がはるかに対応がしやすくなります。
第1肋骨の転位は、頚部や肩部に強い症状を発生させますので、診断・整復が重要になる部位となります。