今回は、長母趾伸筋力テスト(長母趾伸筋反応テスト)の実施の際の注意点をお話します。
母趾の背屈力で仙腸関節の状態を確認していきますが、うまくいかない場合があります。
基本的に背屈力が低下している側を非荷重損傷と判定しますが、明らかに非荷重損傷の可能性の低い側の背屈力が低下する場合があります。
この場合、健側の母趾MP関節に異常がある可能性があります。
母趾MP関節の異常によって、背屈力が低下しているのです。
つきゆびや打撲などで関節の潤滑に問題がある場合に背屈力が低下します。
この場合は、母趾MP関節を整復する事によって、正常に背屈するようになります。
ゆびの整復は比較的難易度が低いので、関節の潤滑は得やすいものとなります。
整復後にすぐに効果が表れる場合は、母趾MP関節の潤滑不全ということになります。
日常診療でわりと遭遇するケースです。
長母趾伸筋力テスト(長母趾伸筋反応テスト)は、経験が必要であり、また再現性が悪いテストですので、慣れるまでは、SLRTT(Straight leg rising tension test)を併用するとよいでしょう。
方法はSLRと同じように行います。
大腿部後面にテンション(緊張感)が出現する場合は、非荷重損傷の可能性が高いものとなります。
長母趾伸筋力テストの判定に自信のない場合は、このテストを併用するとよいと思います。
比較的容易に行えますし、仙腸関節屈伸テスト(前屈テスト)のような診断が期待できます。
また、SLRとは判定の方法が違いますが、SLRを同時に診断できる利点があります。