今回は、長母趾伸筋力テスト(長母趾伸筋反応テスト)についてお話をします。
長母趾伸筋力テストは、補助診断の範疇に入りますが、仙腸関節の状態を確認するうえで欠かせないテストになります。
また、経験が必要になる判定の難しいテストとなります。
基本的に、母趾の背屈力で仙腸関節の状態を確認します。
背屈力の低下は、非荷重損傷の可能性が高くなります。
逆に、背屈力が過剰に強い場合があります。
この場合は、外傷性角加速度損傷の可能性があります。
背屈力が過剰に強くなるのは、骨直接連動によるものです。
相対的な問題として、左右の背屈力に差がある場合、一方の背屈力が低下しているのか他方の背屈力が過剰になっているかを判定する必要があります。
初期の段階では、判定に悩むと思います。
もちろん、外傷性角加速度損傷の場合は、ポストコンプレッションテスト(+)であり、かつ下腿の知覚神経の鈍麻が伴った場合にその判定をしますが、ポストコンプレッションテストや知覚神経のテストも難易度が高いテストですので判定が難しく、初期の段階では確定診断がとりづらくなります。
確実に外傷性角加速度損傷だと診断できるもの以外は、非荷重型整復法で対応していきます。
施術が進んでいく中で、外傷性角加速度損傷と確定した場合に、外傷性角加速度損傷の整復をしていくと安全に施術が進みます。
誤って、外傷性角加速度損傷の整復を施した場合、次のような症状がおこる可能性があります。
1、股関節の可動域制限が大きくなる
2、胸腰移行部回旋テストの可動域制限が大きくなる
3、胸腰移行部回旋テストの際の回旋時の抵抗が強くなる
4、長母趾伸筋力テストで、母趾の背屈力が弱くなる
5、腰痛や腰部の違和感や痺れが発生または増強する
初期の段階では、外傷性角加速度損傷を多く診断してしまう傾向があるように感じます。
【非荷重損傷:外傷性角加速度損傷】の割合は概ね【9:1】くらいとなりますので、仙腸関節の診断の際に念頭に入れておくとよいでしょう。