今回も、頭頚移行部回旋テストについてお話をします。
前回、顔面の知覚神経(三叉神経)のテストと、頚椎の触診を併用すると、診断の確率が高くなるというお話をしました。
今回は、頭頚移行部回旋テストと、三叉神経の知覚神経の関係についてお話をしていきます。
三叉神経は、第1枝から第3枝にわかれていますが、三叉神経の知覚神経の領域と上位頚椎の転位に次のような関係性があります。
第1頚椎・・・第1頚椎の転位側と同側の第1枝(眼神経)領域の知覚神経が鈍麻となる
第2頚椎・・・第2頚椎の転位側と同側の第2枝(上顎神経)領域の知覚神経が鈍麻となる
第3頚椎・・・第3頚椎の転位側と同側の第3枝(下顎神経)領域の知覚神経が鈍麻となる
三叉神経の知覚神経の検査はルレット知覚計を使用します。
ルレット知覚計で、左右の神経領域を検査して、知覚神経の差異を確認することで頚椎の転位が判定できます。
ASRPの場合ですと、右側の眼神経の領域の知覚神経が鈍麻になります。
ルレット知覚計で検査を行うと、右側の眼神経の領域が左側に比べて右側が弱く感じます。
ルレット知覚計を走らせた後に、
「左右の感覚に違いはありますか?」 という質問をすると
「右側が弱い、もしくは左が強く感じる。」 という返答がきます。
左右で差異がない場合は、頭頚移行部回旋テストをもう一度やりなおす必要があります。
第1頚椎に転位がある場合は、必ず眼神経の領域が鈍麻になります。
過去にヤケドをしたことがあったり、皮膚に異常がある場合は知覚神経を正確に判定することができませんので注意が必要です。
また、頚椎を整復した後で再度知覚神経のテストを行いますが、正常に整復されると一過性に過敏になる場合があります。
鈍麻だった領域が一過性に過敏になりますが、正常に整復された場合は問題ありません。
この場合、通常ですと数十秒後に落ち着いて左右の知覚神経に差異がなくなります。
もし、時間経過と共に左右の感覚神経の差異がなくならない場合は、何かしらの問題があると考えます。
整復不全や、知覚神経のテストの再現性の問題などです。
強い整復力を加えた場合は、関節の損傷がおこっている可能性もあります。
問題の対策をとる必要があります。
このように、上位頚椎と三叉神経の知覚神経領域には大きな関係性があります。
頭頚移行部回旋テストと三叉神経の知覚神経のテストは、セットで行う必要があります。