今回は、頚胸移行部側屈テストについてお話をします。
頚胸移行部側屈テストは、頚胸移行部(第2ベース)もしくは、第1肋骨の異常を確認するテストになります。
頚胸移行部側屈テストは、判定が難しいテストになります。
頚部を側屈させた際のテンションの有無を確認するのですが、テンションの判定が簡単ではないからです。
判定が難しいテストですので、補助診断や触診と合わせて診断するとよいと思います。
頚椎から頚胸移行部付近に現れるテンションは、頚胸移行部の異常と判定します。
頚胸移行部から肩鎖関節へのラインに現れるテンションは、第1肋骨の異常と判定します。
頚胸移行部側屈テストのみでは、頚胸移行部の異常なのか第1肋骨の異常なのかがわかりづらい場合もあると思います。
その際に、補助診断が有効になります。
頚胸移行部に異常がある場合は、必ず上肢に神経症状が現れます。
それを確かめるのに有効なテストは、左右の前腕の知覚神経を確認する知覚検査です。
頚胸移行部側屈テストで、テンションが出現した場合でも、知覚検査が(-)の場合は、頚胸移行部に異常はないと判定します。
この場合は、患者さんの姿勢を確認する必要があります。
1、脊柱が後弯していないか
2、頚部が前傾していないか
3、頚部が後傾していないか
脊柱が後弯している場合は、患者さんの背部に手を当てて、圧を加えて上体を伸展させると姿勢を正すことができます。
再度、頚胸移行部側屈テストを実施して、テンションを確認します。
また、スパーリングテストも頚胸移行部に異常の診断に有効になります。
スパーリングテストが(+)の場合、頚胸移行部に異常がある可能性が高くなります。
第1肋骨は、触診により判定が可能になります。
左右の第1肋骨部を示指で触診し、左右に高低差があれば第1肋骨に異常があります。
第1肋骨の異常は、浮上型(上方転位)と沈下型(下方転位)があるので注意が必要となります。
ほとんどの場合、浮上型(上方転位)となりますが、もし沈下型(下方転位)を正常とすると正常な側を浮上型と判定してしまいます。
この場合、整復によって正常な第1肋骨を壊してしまう危険性があるからです。
第1肋骨に異常があると、触診をすると強い痛みが発生します。
痛みが発生する側に異常があるので、高低差と共に触診時の痛みの発生は、浮上型か沈下型かを診断する一つの指標になります。
頚胸移行部や第1肋骨の異常は、上位頚椎にも大きな影響を与える損傷です。
正確に診断して、整復を行うことが頚部の症状の改善に必要となります。