今回は、股関節屈曲テストについてお話をします。
股関節はもとより、仙腸関節の状態を確認するうえでも重要なテストの一つになります。
股関節屈曲テストは、応用潤滑理論により判定されるテストとなります。
そのため、患者さんの姿位が重要となります。
患者さんのテスト直前の姿位は、頭部から足部まで直線であることが重要です。
以下の確認を行います。
1、関節可動域
2、屈曲時の関節の抵抗
3、膝関節(膝蓋骨)の左右の高低差
4、屈曲時、また屈曲から伸展させる際の下肢の動き
股関節・仙腸関節に異常があると、可動域制限がおこります。
膝関節(膝蓋骨)の左右の高低差を確認して、hip-A(膝部高位)hip-P(膝部低位)を判定します。
下肢の動きを確認することも重要となります。
通常、股関節を屈曲させると膝部は直線上に屈曲していきます。
ところが股関節異常や仙腸関節異常があると、屈曲時に外転外旋方向に動く場合があります。
この場合、仮に可動域制限がない状態でも、異常な挙動として判定します。
重要な項目になりますので、必ずカルテに記入します。
股関節は仙腸関節の影響を強く受ける関節の一つです。
股関節屈曲テストも胸腰移行部回旋テストと同様に、仙腸関節の整復後に再度診断を取り直す必要があります。
仙腸関節の整復後に、大きく変化することも珍しくありません。
ほとんどの場合、可動域制限が改善されます。
また、仙腸関節の整復後にhip-A(膝部高位)とhip-P(膝部低位)が逆転するケースもあります。
股関節は寛骨にある関節ですので、寛骨の位置が変わる事によって股関節の位置も変わります。
仙腸関節の整復後に股関節に変化がおこるのは、ある意味当然ともいえると思います。
股関節屈曲テストは、ニュートラルな状態からテストを開始することが重要です。
そのため、テストを行う直前に臀部を上げておろすという動作をしてもらうと股関節がニュートラルな状態になります。
「おしりを上げてください。」と言って臀部を上げておろすという動作をすることによって、より正確な診断がとれます。