今回は、胸腰移行部回旋テストの判定と整復についてお話をします。
前回お話をしたように、男性の場合は可動域が80度以下の場合を(+)と判定し、女性の場合は90度以下を(+)と判定します。
(+)と判定された時点で、胸腰移行部に異常があるという診断になります。
もしくは、胸腰移行部の一つないし二つ上か下の椎間関節に異常があるという診断になります。
ところが、胸腰移行部回旋テストの判定は、判定イコール胸腰移行部の異常ではないところに特徴があります。
(+)の場合、見かけ上、胸腰移行部に異常があります。
これは多くの場合、仙腸関節の異常の影響によっておこっているということを認識しておく必要があります。
胸腰移行部回旋テストで(+)と判定されても、実際に胸腰移行部に異常はない場合が少なくありません。
構造医学の臨床の経験の豊富な先生方は、うなずかれることと思います。
構造医学を学ぶ初期の段階ではわかりづらい部分ではないでしょうか。
ここで注意すべきことは、胸腰移行部回旋テストが(+)と判定された場合に、仙腸関節を整復せずに胸腰移行部を整復することです。
胸腰移行部は、比較的整復によって可動域制限が改善されやすい部位ですので、効果があります。
ところが、ここが落とし穴でもあります。
本来、胸腰移行部回旋テストで(+)と判定された場合、まず仙腸関節の整復をしてから再度、胸腰移行部回旋テストを行います。
仙腸関節の整復によって、ほとんどの胸腰移行部の回旋制限は消失するからです。
仙腸関節が正常に戻った時点においても、胸腰移行部に可動域制限が残っていれば、この時点で胸腰移行部に異常があると判定して整復を施します。
仮に、仙腸関節の異常によって、胸腰移行部回旋テストが(+)とでた場合は、胸腰移行部に異常はないことになります。
この状態で、胸腰移行部に整復を施すと、椎間関節を破壊する可能性があります。
胸腰移行部のハイパーモビリティ(過可動性)をおこす原因となりますので注意が必要となります。
このように、胸腰移行部回旋テストは判定が(+)とでても、それがイコール胸腰移行部の異常ではないということを念頭に入れておく必要があります。